【腰痛を繰り返す人へ】腰を揉んでもまた痛くなる理由とは?見直したい体のチェックポイント
2026年10月28日

腰が痛いから、腰を揉む。腰を伸ばす。腰まわりをストレッチする。湿布を貼る。どれも、ごく自然な対応ですよね。僕も昔はそうしていました。
それで楽になることもあります。そこを否定したいわけではありません。
ただ、数日後にはまた痛くなる。揉むと楽になるけれど、また戻る。それを何年も繰り返しているなら、そろそろ一度立ち止まってほしいんです。「腰が痛いから、まず腰を何とかする」という順番で、本当にいいんでしょうか。
僕が提案したいのは、新しいマッサージを一つ覚えることではありません。「痛い場所だけで答えを決めない」という、体の見方そのもののアップデートです。足首や股関節を使った簡単なセルフケアも、その考え方を自分の体で確かめるために行います。
目次
- 腰を揉むことと、繰り返す理由を考えることは別です
- まずはセルフチェックで「体の現在地」を知る
- 腰に触れずに行うセルフケア。まずは足首と股関節から
- 同じ動きで再チェック。「変わらない」も大切な情報です
- 「腰痛の原因は足首」と、答えを置き換えないでください
- デスクワークの合間にできる「椅子で4の字」のケア
- 痛い場所だけでなく、「痛くなるまでの流れ」を見る
- 東洋医学の考え方を、体全体を見る視点として足す
- 「根本改善」は、方法だけでなく考え方から変えたい
- 目指したいのは、自分の体をある程度、自分で整えられること
腰を揉むことと、繰り返す理由を考えることは別です
家の床が濡れていたら、とりあえず拭きますよね。それは間違っていません。
でも、翌日も同じ場所が濡れている。その次の日も濡れている。これが何週間も続いたら、「何でここばっかり濡れるんやろ?」と考えるはずです。上を調べたら、雨漏りしていた。そうなれば、床を拭くだけでは終われません。
繰り返す腰痛についても、僕はこれに近い見方をしています。
腰を揉んで楽になった。それ自体はいいんです。ただ、何度も同じ場所に痛みや張りが戻るなら、次に考えたいのは「なぜ腰ばかりが頑張っているんやろ?」ということです。
痛みが出ている場所と、負担が集まるまでに関わった場所は、必ずしも同じとは限りません。腰だけに犯人を決めつけず、ほかの関節の動きや、普段の体の使い方にも目を向けてみる。そこから始めたいんですね。
まずはセルフチェックで「体の現在地」を知る
何かを整える前には、現状把握が必要です。仕事でもそうですよね。今どうなっているのかが分からないままでは、何を変えたのかも分かりません。
体も同じです。まず、前に曲げる、後ろに反らす、左右にひねるという動きで、今の状態を確かめてください。痛みが強い方は無理に行わず、どの動きもできる範囲にとどめます。違和感を押し切って動かす必要はありません。
1.前屈して、どこが張るかを確かめる
立てる方は、足を肩幅くらい、または少し広めに開いて、ゆっくり前屈します。手が床につくかどうかは、今回の一番の目的ではありません。
- 腰が張るのか
- お尻が突っ張るのか
- 太ももの裏が張るのか
- 膝の裏にピキッとした感じがあるのか
こんなふうに、どこに、どんな感覚が出るかを覚えておいてください。僕が最初に確かめたときは、膝裏の少し下あたりに引っかかるような感覚がありました。

2.後ろに反らして、嫌な感じが出る位置を知る
次に、ラジオ体操で行うように、無理のない範囲で体を後ろへ反らします。大きく反る必要はありません。どこまで動けるかと一緒に、どこで張りや嫌な感じが出るのかを確認します。
3.左右に軽くひねり、差を確かめる
最後に、体を右と左へ軽くひねってください。右だけ動きにくい、左のお尻が張る、片側に動かすと怖い感じがする。そうした左右差も、今の体を知る情報です。
可動域だけでなく、張る場所、違和感、動かすときの怖さまで含めて覚えておきましょう。これが、セルフケア後に比べるための「現在地」になります。
腰に触れずに行うセルフケア。まずは足首と股関節から
ここでは、腰を揉まずに二つの動きを行います。目的は「これで必ず腰痛が治る」と証明することではありません。腰以外を動かしたとき、自分の体がどう反応するのかを知ることです。
足首を左右それぞれ10回ほど回す
- 椅子に座り、片脚を反対側の太ももに乗せます。
- 足を手で支え、足首を無理なく回します。
- 10回ほどを目安に行い、反対側も同じように回します。
力任せに回すのではなく、動かせる範囲で結構です。僕はこの日、その前にも足首を動かしていたので、いつもより動かしやすく感じました。同じ人でも、その日の体の状態は違うんですね。

股関節から、脚の重みで前後に振る
- 立って、壁などに手を添えます。
- 片脚を、足の付け根である股関節から前後に振ります。
- 脚の重みを使って、10回ほどを目安に動かします。
- 反対側も同じように行います。
ポイントは、頑張って脚を高く上げることではなく、脚の重みで股関節から振ることです。大きく振ろうとせず、無理のない動きで行ってください。

同じ動きで再チェック。「変わらない」も大切な情報です
足首回しと脚振りが終わったら、最初と同じ前屈、後ろに反らす動き、左右へのひねりを、無理のない範囲でもう一度行います。
- 最初に張っていた場所の感覚はどうか
- 左右の動かしやすさは変わったか
- ひねるときの違和感や怖さはどうか
- 無理に頑張らなくても動ける感じがあるか
僕の場合は、足首と股関節を動かしたあと、前屈で感じていた膝裏のピキッとした感覚が軽くなりました。後ろへ反らす動きや左右のひねりも、最初より動かしやすく感じました。
もともと僕は腰痛があまりないので、これは強い腰痛が治ったという話ではありません。あくまでも、腰を揉まなくても、動きや感覚に変化が出たという、自分の体での確認です。
変化があった場合
足首や股関節を動かすことで腰まわりの感覚が変わったなら、腰以外の動きにも目を向けるきっかけになります。僕は、足首や股関節の硬さが、腰に負担を集める一因になっていないかと考えます。
ただし、その場で動きが変わったことだけで、腰痛の原因が特定できるわけではありません。「腰だけを見なくてもよさそうだ」という手がかりとして受け取ってください。
変化がなかった場合
変わらなかった方も、悲観しなくて大丈夫です。失敗でもなければ、自分の体が悪いという意味でもありません。
今回分かったのは、「この二つの動きでは、今の体に大きな変化が出なかった」ということです。これも立派な情報なんですよ。
僕が施術で見立てるときには、腰以外にも、ふくらはぎ、膝、太ももの裏・前・外側、股関節の動きなどを確認します。さらに細かく見れば、足の指、足の甲、足裏といった場所にも目を向けます。
だからといって、全部を片っ端から刺激すればいいわけではありません。一つ試したら反応を確かめ、変わらなければ別の可能性を考える。そうやって、体から返ってきた情報を積み重ねていくんです。
「腰痛の原因は足首」と、答えを置き換えないでください
ここは、特に間違えてほしくないところです。
僕は「腰痛の原因は足首です」「股関節です」と、新しい犯人を決めたいわけではありません。腰だと思っていた答えを足首に置き換えただけでは、結局、同じことの繰り返しになってしまいます。
足首を動かすと楽になる。でも戻る。また足首だけを触る。それでは、腰だけを揉んでいたときと考え方が変わっていませんよね。
腰が痛いという結果だけを見て、最初から答えを一か所に決めなくていい。僕が伝えたいのは、そこなんです。
腰を揉まれると気持ちいい、リラックスできる。それも大切なことです。ただ、その場の心地よさと、なぜ何度も痛みが戻るのかを考えることは、分けておきたいと思っています。
デスクワークの合間にできる「椅子で4の字」のケア
もう一つ、お尻と太ももまわりを伸ばす、椅子でのセルフケアを紹介します。座って仕事をしていて、腰まわりが気になるときにも取り入れやすい動きです。こちらも無理はしないでください。
- 椅子に座り、片方の足首を反対側の太ももに乗せます。脚で数字の「4」を作るイメージです。
- 背中を丸めて倒れるのではなく、股関節から上体を前に傾けます。
- お尻や太ももの裏に伸びる感覚があれば、その位置で10秒ほどを目安に保ちます。
- ゆっくり戻し、反対側も無理のない範囲で行います。
伸びる感じが分かりにくいときは、床についている足を少し前へ出し、姿勢を調整してみてください。深く倒すことより、どこが伸びているのかを確かめることが大切です。

終わったら、もう一度、最初の動きと比べてみましょう。僕はこのケアのあとも、前屈や左右への動きがさらにしやすく感じました。
ここでも、変化を出そうと頑張る必要はありません。変わったなら、どこがどう変わったのか。変わらなかったなら、今回の刺激では大きく反応しなかった。それを確認できれば十分です。
痛い場所だけでなく、「痛くなるまでの流れ」を見る
僕は施術の現場で、腰が痛いと言われたら「腰が痛いんですね」で終わらせないようにしています。痛む場所はもちろん確認します。でも、そこだけで完結することは、ほとんどありません。
例えば、こんなことを確かめます。
- いつ痛むのか:朝なのか、立っているときか、座っているときか、寝返りのときか。
- どう動くと気になるのか:前屈、後ろに反らす動き、横に倒す動き、ひねる動きで何が違うか。
- ほかの部位はどうか:足首や股関節の動き、左右差はどうなっているか。
- どんな背景があるのか:仕事での体の使い方、呼吸、過去のけがなど。
首の痛みで来られた方にも、似たことがありました。首の動きが悪いだけでなく、肘のあたりにも強く響く感覚があったんです。仕事の内容を聞くと、データ入力をしていたとのことでした。
一生懸命タイピングをして、集中してパソコンに向かっていた。その背景を聞かず、首の筋肉だけをひたすら揉んでいたら、見落とすものがあるわけです。
これは「首の痛みは必ず腕が原因」という話ではありません。痛い場所だけではなく、そこに至るまでの使い方や、体全体の状態を見るという例です。腰痛でも同じように考えたいんですね。
東洋医学の考え方を、体全体を見る視点として足す
僕がよく話す「巡り」も、一か所だけで体を決めないための考え方です。
東洋医学では、腰だけ、膝だけ、肩だけと切り離すのではなく、経絡というつながりから体を捉えます。腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、足へと目を向けたり、体の外側や内側のつながりを考えたりするんですね。睡眠や冷え、日々の生活の状態も見ていきます。
僕は、東洋医学でいう気・血・水の考え方に加え、筋肉や関節の動きも含めて、体全体の働きを捉える言葉として「巡り力」を使っています。
イメージとしては、体の中を通る道のどこかで、流れが滞っていないかを探す感じです。腰だけを見つめるのではなく、その手前のどこで動きが止まり、負担が集まっているのかを考えます。
これは、腰痛の原因をすべて「巡り」で断定するための説明ではありません。また、西洋医学と東洋医学を対立させたいわけでもありません。一般的な医学の知識に、体全体を見る視点をプラスして、共存させることが僕の理想です。
「根本改善」は、方法だけでなく考え方から変えたい
僕は15年以上、施術の仕事をしてきて、ずっと疑問に思っていることがあります。
整体やマッサージ、ストレッチの方法はたくさんあります。機器も進歩し、医学も進歩しています。僕自身、膝の十字靱帯のけがで手術を受けた経験がありますが、その当時と今では手術の方法も違います。健康情報も、昔とは比べものにならないほど簡単に手に入ります。
それなのに、体の見方が「腰が痛いから腰」「膝が痛いから膝」「首が痛いから首」で止まっていることがある。そこは、そろそろ変えていかないといけないと思うんです。
「根本改善」と言いながら、「これを5秒やれば治る」と誰にでも同じ答えを当てはめる。その伝え方には、僕は強い違和感があります。体も、痛みが出るまでの背景も、人によって違うからです。
だから、足首回しや脚振りについても、全員に同じ結果を約束することはできません。僕が伝えたいのは、正解の形を暗記することよりも、今の自分の体が、何をするとどう変わるのかを確かめる姿勢です。
これは、ケアを受ける側だけの課題ではありません。むしろ、僕ら施術する側が、先に考え方を変えないといけない。痛いところを楽にするだけでなく、自分の体を理解するための知識も、一緒に伝えていく必要があると思っています。
目指したいのは、自分の体をある程度、自分で整えられること
体について知っている人は、自分の状態を確かめながら、整え方を少しずつ身につけていけます。一方で、何も分からないままだと、「お店に行かないと体は良くならない」と、任せきりになりやすい。僕はそこに、健康知識の差が生まれると感じています。
必要な医療や施術を否定する話ではありません。何でも一人で解決するのではなく、日々の状態を自分でも把握し、ある程度までは自分で整えられる。その領域を広げていきたいんです。
そのために覚えてほしい流れは、シンプルです。
- まず確かめる:どの動きで、どこに、どんな感覚が出るかを知る。
- 無理のないケアをする:痛い場所だけに決めつけず、ほかの部位の動きにも目を向ける。
- もう一度比べる:変わったことも、変わらなかったことも情報として受け取る。
腰を触るな、と言いたいのではありません。腰を触る前に、もっと見るところがあるんじゃないですか。これが僕からの提案です。
ずっと使っていく自分の体ですから、もう少し丁寧に向き合ってほしい。何度も腰痛を繰り返すなら、「また腰が痛い」で終わらせず、「痛みが出るまでに、何が起きていたんやろ?」と考えてみてください。
方法を一つ増やすより先に、見る順番を変える。それが、僕の考える「根本改善」を一歩進める出発点です。









