腰痛が良くなったのにまた痛いのはなぜ?繰り返す原因とセルフケア
2026年10月22日

整体で楽になった。ストレッチをしたら痛みが減った。ところが、翌朝になるとまた腰が痛い。
そんな時、「結局、治ってなかったんやな」と思ってしまいますよね。もっと効くストレッチを探そう、もっと腰を揉もう、別の治療を受けよう。そう考える気持ちはよく分かります。
でも、少し違う角度から考えてみてほしいんです。痛い・痛くないだけで、自分の体を全部判断していませんか?
腰痛がまた出たからといって、良くなった分まで全部なくなったとは限りません。大事なのは、今の体がどうなっていて、何をするとどう反応するのかを知ることです。僕はそれを、体の「現在地」を確認する、と考えています。
目次
- 「痛みがなくなった」と「体が元の状態に戻った」は同じではない
- 痛みへの不安と、少し距離を取る
- セルフケアの前に、体の「現在地」をチェックする
- 腰を触らずに試す、股関節と足首のセルフケア
- 変わった時も、変わらなかった時も、体は情報を返している
- なぜ腰以外を見るのか。体は全部つながって動いている
- また痛くなった日は、「昨日と何が違う?」と考える
- 自分では普通だと思っている姿勢にも、気づきにくい癖がある
- 施術の時間より、日常の時間のほうがずっと長い
- 体の優先順位を上げる。ただし、受診の判断は別に考える
- 繰り返す腰痛は、体の見方を広げるきっかけにする
「痛みがなくなった」と「体が元の状態に戻った」は同じではない
昨日まで腰が痛かったのに、今日は痛くない。それ自体はうれしいことです。ただ、痛みがなくなった時に、足首や股関節の動きまで確認したでしょうか。
腰の痛みが取れたから、腰だけを見て「もう大丈夫」と判断する。ここで、体のほかの情報を見落としている可能性があります。
僕は施術でも、腰が痛いから腰だけを緩める、という見方はしません。足首の動き、足の甲の硬さ、足指の動かしやすさなども確認します。腰の感覚が変わっていても、ほかの部分の動きにくさは残っているかもしれないからです。
歯が痛かったのに翌日痛まなくなって、「もう歯医者に行かなくてもいいかな」と思うことがありますよね。でも、痛まないことと、問題が解決したことは別です。スポーツでも、肉離れをした選手が復帰した後、再び同じようなけがをすることがあります。症状だけでは、回復の状態を十分に判断できないわけです。
痛みは、車の警告灯のような「ひとつの情報」
車の警告灯がついて、しばらくすると消えたとします。それだけで「車が新品同様になった」とは思わないでしょう。何が起きていたのか、ほかに異常はないのかを確認しますよね。
体の痛みも、状態を知るための情報のひとつとして受け取ってほしいんです。
- 痛みが減ったことも、今の体の情報。
- また痛くなったことも、今の体の情報。
- 動かしやすい、張る、左右で違うという感覚も、今の体の情報。
痛みだけに振り回されるのではなく、その時の体全体を見る。ここがめちゃめちゃ大事です。
痛みへの不安と、少し距離を取る
痛いのは嫌ですし、怖いし、不安にもなります。僕自身、若い頃に交通事故で膝をけがして、手術後に痛みが出るたびに「また悪くなったんかな」と心配していました。
病院で確認しても異常が見つからないことが何度かあり、その中で、痛みに過敏に反応していた自分にも気づきました。そこから、少し引いて自分を見るようにしたんです。
「もう悪化した」とすぐ結論を出すのではなく、「今日は膝が痛いな」「今はこの動きで気になるな」と、まず状態を受け止める。腰痛でも同じです。
痛みに意識を集中し続けると、その感覚がますます気になってしまうこともあります。だからといって、我慢して無視するという話ではありません。不安から決めつけず、観察できるところを落ち着いて確認するということです。
セルフケアの前に、体の「現在地」をチェックする
ここからは、腰を直接触らずに、股関節と足首を動かして体の反応を確かめます。目的は「この体操で腰痛を治す」ことではなく、ケアの前後で自分の感覚がどう変わるかを知ることです。
無理のない範囲で行ってください。痛みを我慢して動かしたり、深く曲げようと頑張ったりする必要はありません。動作で痛みが強くなる場合は中止しましょう。
1. 立って、ゆっくり前屈する
- 普段どおりに立ちます。
- ゆっくり体を前に倒します。
- 無理なく動けるところで、どこに張りや違和感があるかを確認します。

ここで見てほしいのは、「体が硬いか、柔らかいか」ではありません。床に手が届くかどうかの競争でもないんです。
- 腰の右側と左側、どちらが張るか。
- お尻に張りを感じるか。
- 太ももの裏が張るか。
- 左右で感覚に違いがあるか。
- 腰に痛みや違和感があるか。
「右のお尻が張る」「太ももの裏は左右同じぐらい」など、その感覚だけ覚えておけば十分です。
2. 椅子に座って、もう一度立つ
一度椅子に座り、そこからもう一度立ち上がります。安全にできる方は、手で支えずに普段どおり立ってみてください。難しい場合は無理に手を離さなくて大丈夫です。
確認するのは、立ちやすいか、立ちにくいか。腰に力を入れないと立てない感じがあるか、引っかかる感覚があるか、といったことです。
いったん座って立つことで姿勢を取り直し、今の体の感覚を確認します。この最初のチェックが、セルフケア後に比べるための基準になります。
腰を触らずに試す、股関節と足首のセルフケア
1. 椅子で脚を「4の字」にして、お尻の外側を伸ばす
- 椅子に座ります。
- 片方の足首を、反対側の太ももの上に置き、脚で数字の「4」のような形を作ります。
- 背中を丸めて倒れるのではなく、股関節から上体を前に傾けます。
- お尻の外側が気持ちよく伸びるところで止めます。
- 呼吸を止めず、自然に吸って吐きながら10秒ほど保ちます。
- ゆっくり戻し、反対側も同じように行います。

大切なのは、痛いところまでやらないこと。強く伸ばすほど良い、というものではありません。
そして、左右の違いも覚えておいてください。僕が試した時は、右側のほうがキュッと伸びる感覚がありました。それをすぐ「悪い」と判断しなくていいんです。「今日は右のほうが張るんやな」という情報として受け取ります。
このストレッチが、腰痛のある人全員にとって正解というわけではありません。この刺激に、今の自分の体がどう反応するかを知るために行っています。
2. 足首を、左右それぞれ両方向に回す
- 椅子に座ったまま、片脚を持ち上げ、無理のない位置で支えます。
- 足首をゆっくり一方向に5回ほど回します。
- 反対方向にも5回ほど回します。
- 反対の足も同じように行います。

ここでは、回せた回数よりも、動きの違いに注目してください。
- 右足と左足、どちらが動かしやすいか。
- 回す方向によって、ぎこちなさが変わるか。
- 滑らかに回る側と、引っかかるように感じる側があるか。
僕は左足のほうが動かしやすく、右足は回す方向によって苦手な感じがありました。サッカーでも左足で蹴っていたので、普段の使い方との関係を考えるきっかけにもなります。
自分の体なのに、意外と知らないことがあるんですよね。左右を比べるだけでも、新しい発見になります。ただし、動きにくさが見つかっただけで、そこが腰痛の原因だと確定するわけではありません。体を見るための手がかりです。
3. 最初と同じ動きで、もう一度確認する
股関節と足首を動かしたら、立ち上がり、最初と同じようにゆっくり前屈してみてください。立ち上がりやすさも比べます。
僕の場合は、最初より張りが減り、前屈が少し楽になりました。腰そのものには触れていません。それでも、腰まわりの感覚が変わったんです。
もし同じような変化があれば、今の体は、腰だけでなく股関節や足首も含めて見たほうがよい可能性があります。これは、体から返ってきた反応です。
変わった時も、変わらなかった時も、体は情報を返している
セルフケアをして楽になる人もいれば、あまり変わらない人もいます。変化がなかったからといって、失敗ではありません。
分かったのは、「今回の股関節と足首への刺激では、大きな変化が出なかった」ということです。それも次を考えるための情報なんです。
僕も施術では、ひとつの刺激に対してどう反応したかを見ています。変化が出たのか、出なかったのか。その反応を受けて、次の施術を組み立てます。
セルフケアも同じです。
- 確認する:今の張り、左右差、動きやすさを知る。
- 無理なく試す:ひとつのケアを行う。
- 比べる:最初と同じ動きで反応を確認する。
- 次を考える:変化に応じて、見る場所や方法を見直す。
効果が出ないから、もっと強く伸ばす、もっと揉む、という方向に進む必要はありません。別のところを見る必要があるかもしれない、ということです。
今回なら股関節と足首ですが、太ももの裏、側面、前側、骨盤の傾きなど、確認する場所はほかにもあります。腰だけを揉んで一時的に楽になっても繰り返す場合には、見方を広げることが大切です。
なぜ腰以外を見るのか。体は全部つながって動いている
腰だけで立っている人はいませんよね。足裏、足首、膝、股関節、骨盤、腰、上半身。全部が連動して、立つ、歩く、座る、立ち上がるという動きを作っています。
足首が動きにくければ、その分を膝や股関節が補うことがあります。こうした補いの動きを、代償運動といいます。股関節の動きにくさが、ほかの部分の負担と関係することもあるわけです。
だから僕は、痛い場所と原因の場所を、最初からイコールにはしません。
痛い場所を「本丸」とするなら、その周りの「外堀」も見る。僕が「外堀・本丸の法則」と呼んでいる考え方です。腰が痛いなら、近くの関節や筋肉、上半身と下半身の状態にも目を向けます。
東洋医学では、経絡という視点でもつながりを見る
僕は関節や筋肉だけでなく、東洋医学の「経絡」という考え方も、体を見る際の視点にしています。
東洋医学では、腰からお尻、太ももの裏、ふくらはぎ、足へと続くつながりを、膀胱経として捉えます。体の外側には胆経、内側には腎経・肝経・脾経などの経絡を考えます。これは東洋医学の枠組みで体を捉える見方です。
僕が大切にしているのは、腰痛だから腰だけで完結させないこと。足指、足の甲、足首を確認し、反応に応じてふくらはぎ、すね、膝裏、太ももの各面、股関節へと見る範囲を広げていきます。
すべてを一度にケアするという話ではありません。その人の体の反応を確かめながら、ひとつずつ選んでいくんです。
また痛くなった日は、「昨日と何が違う?」と考える
施術後に痛みが減ったのに、翌日また腰が痛い。そんな時も、「全部元に戻った」と決めつけなくて大丈夫です。
体は毎日、まったく同じ状態ではありません。
- 昨日より座っている時間が長かった。
- 睡眠の状態が違った。
- 足に疲れが残っていた。
- 歩き方や体の使い方が、いつもと違った。
- 靴を変えた。
こうした条件の違いを、一度振り返ってみてほしいんです。
以前、肩が最近痛くなったという方に、普段と違うことがなかったか聞いていくと、旅行でスーツケースを使った話が出てきました。本人も、最初はそのことを忘れていたんですね。
もちろん、スーツケースが原因だったと断定はできません。でも、「いつもと違う体の使い方をしていたかもしれない」と考える材料にはなります。
忙しい毎日の中では、自分の行動と体の変化を結びつけにくいものです。だからこそ、「また直さなきゃ」だけでなく、「今日は昨日と何が違うんだろう?」という視点を持つことに意味があります。
自分では普通だと思っている姿勢にも、気づきにくい癖がある
毎日使っている体だからこそ、自分の癖は分かりにくいんです。右側に体重をかけて立っていても、本人にとってはそれが「普通」になっています。
施術の時、まっすぐ立ってもらって鏡で一緒に確認すると、体が傾いていることがあります。「傾いていますよ」と伝えても、ご本人は「そうですか?」という反応だったりします。写真で確認して、初めて気づくこともあります。
これは僕自身も同じです。自分では普通に座っているつもりでも、傾いているかもしれない。人に見てもらわないと分からないことがあります。
ですから、施術を受ける場所は、痛みを減らすためだけでなく、自分では気づきにくい体の使い方を知る場所としても使えると思っています。
僕自身も、膝と肩を別々に見ないきっかけがあった
僕には、膝の手術後に腕が上がりにくくなった経験があります。肩そのものが動かないというより、皮膚が突っ張るような感覚でした。
その時に受けた整体では、膝の手術痕による皮膚の引っ張りとの関係を指摘され、背中などの皮膚に触れる施術を受けました。これはその時の施術者の見立てであって、同じ症状の人すべてに当てはまる説明ではありません。
ただ、僕にとっては「腕が上がらないから肩だけを見るとは限らない」と、自分の体を知るきっかけになりました。今でも、局所だけで決めつけずに考える時の経験として役立っています。
腰痛でも、人によって見るべき場所は違います。今回の股関節や足首が手がかりになる人もいれば、太ももの裏や側面など、別の部分を見る必要がある人もいるんです。
施術の時間より、日常の時間のほうがずっと長い
仮に、週に1回、1時間の施術を受けるとします。1週間は168時間ですから、施術者が関われるのはそのうちの1時間。残りの167時間は、その人の日常です。
その時間にどう体を使うか、何に気づくか、どうケアするか。ここを抜きにして、施術だけで終わらせたくないんですよね。
僕が目指しているのは、今ある痛みを軽くすることに加えて、10年後、20年後も、自分の好きなことができる体づくりです。長く元気に動いてほしい。そのために、自宅で行えるセルフケアと、その後の反応を確かめることを大切にしています。
セルフケアを試して、その反応を共有し、また見直す。この繰り返しが、自分の体を理解することにつながります。
正解を探すより、自分の体の「取扱説明書」を作る
腰痛改善ストレッチ、坐骨神経痛のセルフケア、ツボ押し。方法はいろいろあります。僕も方法をお伝えしますが、一番知ってほしいのは、方法そのものだけではありません。
自分の体が、何に反応するのか。そこなんです。
僕が施術経験から良いと考えて紹介したケアでも、あなたに合うかもしれないし、合わないかもしれません。楽になったなら、その反応を覚える。変わらなかったなら、次の見方を考える。
「これをすれば必ず治る」という攻略本を探すのではなく、少しずつ自分の体の取扱説明書を作っていく。そんな感覚です。
自分で分かることが増えれば、必要な時に専門家と一緒に答え合わせもしやすくなります。何もかも人任せにするのではなく、自分の体に関わる力を育ててほしいと思っています。
体の優先順位を上げる。ただし、受診の判断は別に考える
セルフケアを続けることは、ダイエットの運動や食事の見直しと少し似ています。やり方を知っているだけでは続かない。生活の中で、自分の体の優先順位を上げる必要があります。
「ちょっと我慢したら取れるやろ」「痛くても歩けばええやろ」と、いつも後回しにしてしまう。そうではなく、張りや動きにくさに気づいた時に、無理なく確認する時間を持ってほしいんです。
一方で、体を観察することと、病気を自分で診断することは別です。僕自身、腹膜炎になった時には、体の内側を強くつかまれるような痛みを経験しました。ただ、痛みの強さや冷や汗の有無だけで、内臓の問題や受診の必要性を見分けることはできません。
強い痛みや普段と違う痛みがある時、不安がある時、症状が続いたり悪くなったりする時は、セルフケアだけで判断せず医療機関に相談してください。自分の体を知ることは、必要な医療を避けるためではありません。
繰り返す腰痛は、体の見方を広げるきっかけにする
最後に覚えておいてほしいのは、この3つです。
- また腰が痛くなったからといって、全部元に戻ったとは限らない。
- 痛い・痛くないだけで、体全体の状態を判断しない。
- セルフケアの前後で、張り、左右差、動きやすさを比べる。
股関節を動かしたらどうだったか。足首は左右でどう違ったか。その後、前屈や立ち上がりは変わったか。変わっても、変わらなくても、それが今の体から返ってきた情報です。
痛みが出た時に「また悪くなった」と落ち込むだけでなく、「今の体は昨日とどう違うんやろ」と見る。そうすると、痛みをただの悪者ではなく、体からのサインとして受け取れるようになります。
正解をひとつ覚えることより、自分の体を知ること。その積み重ねを、長く動ける体づくりにつなげていきましょう。
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