膝裏が痛い、伸ばしても戻る理由|足首と股関節から確認するセルフケア
2026年10月6日

朝起きると膝の裏が突っ張る。椅子から立った瞬間に痛い。長く座った後、歩き始めると膝裏が伸びにくい。しゃがんで立つと、また気になる。
そんな時、膝裏を揉んだり、太ももの裏をストレッチしたりしていませんか? それで楽になり、その状態が続くならいいんですよ。でも、その場では楽になるのに翌朝には戻るなら、一度見る場所を変えてみてほしいんです。
今回は、最初から「原因はここです」と決めません。まずは膝裏を直接触らずに、足首や股関節を動かしたらどうなるか。自分の体で、その反応を確かめてみましょう。
目的は、この方法で必ず膝裏の痛みを治すことではありません。今の体が何に反応するのか、自分の「体の現在地」を知ることです。痛みの強い動きは避け、無理のない範囲で行ってください。病気やけがの確認も大切ですから、セルフチェックだけで原因を決めつけないようにしましょう。
目次
- まずは、今の膝裏の感覚を覚えておく
- 実践① 膝裏には触らず、座って足首を動かす
- 膝を触らずに感覚が変わるのは、なぜ?
- 実践② 支えを使って、股関節から脚を動かす
- 膝裏を揉んでも痛みが戻る理由を、仕事の分担で考える
- 痛む場所だけでなく、時間帯と動き方も確認する
- 足裏の体重のかかり方と、靴底の減り方を見る
- 東洋医学では、膝裏を体の背面のつながりとして見る
- 最後のチェックは、痛みの数字だけで終わらせない
- セルフケアを増やすより、自分の体の現在地を知る
まずは、今の膝裏の感覚を覚えておく
セルフケアを始める前に、普段どんな動きで膝裏が気になるのか確認します。無理なく立てる方は立って、できる範囲で次の動きを試してください。
- 膝を軽く伸ばす。
- 2、3歩歩く。
- 軽くしゃがむ。
- 椅子に座った状態から立ち上がる。
全部を行う必要はありません。強く痛む動きはやらなくて大丈夫です。
ここで覚えてほしいのは、痛みや違和感の強さと、その感じ方です。10段階でどれくらい気になるか、左右それぞれで考えてみてください。「右は7くらい、左は3くらい」という覚え方でも構いません。
数字だけでなく、ズキッとするのか、突っ張るのか、伸びないのか、重たいのか。膝裏がムズムズする感じや、左右差も確認しておきます。
なぜ最初にこれをするのか。セルフケアって、つい「ストレッチした」「揉んだ」「ツボを押した」という、やったこと自体に満足しやすいからなんですね。でも大切なのは、何をしたかより、体がどう反応したか。その違いを比べるために、最初の感覚を覚えておきます。
実践① 膝裏には触らず、座って足首を動かす
まず椅子に座り、足裏を床につけます。ここではまだ膝裏を揉んだり、押したりしません。動かすのは足首です。
つま先を上げ下げする
- 足裏を床につけた状態から、かかとを床に残して、つま先をゆっくり上げます。
- つま先を下ろして、元に戻します。
- この上げ下げを10回行います。

かかとを上げ下げする
- 今度はつま先を床に残して、かかとを上げます。
- かかとを下ろします。
- こちらも10回行います。
つま先とかかとを交互に上げる
最後に、つま先を上げて戻し、次にかかとを上げて戻します。この交互の動きを10回行ってください。
ポイントは、無理に大きく動かさないことです。動く範囲でゆっくり行い、呼吸も止めないようにしてください。
一度立って、最初と比べる
足首を動かし終わったら、もう一度立ち上がります。最初に確認した動きを、同じように試してみましょう。
- 膝裏がさっきより伸びやすいか。
- 突っ張り方に違いがあるか。
- 立ち上がりや歩き始めが少し軽いか。
- 左右の感じ方が変わったか。
まったく変わらなくても大丈夫です。変化がないことも、今の体の反応です。
一方で、少し立ちやすくなったり、膝裏の伸び方が変わったりする方もいると思います。もし変わったなら、ここが大事なんですよ。まだ膝裏を一度も触っていないのに、膝裏の感覚が変わったということです。
膝を触らずに感覚が変わるのは、なぜ?
膝は、膝だけで働いているわけではありません。
歩く時は、足が地面につき、足首、膝、股関節が連動して体を前へ運びます。椅子から立ち上がる時も同じです。それぞれの関節の動きがつながって、立つ、歩くという動作になっています。
では、足首があまり動かなかったらどうなるでしょうか。本来、足首が担うはずだった動きを、どこかが補う必要が出てきます。その一つが膝かもしれないんですね。
だから、膝裏が痛いという感覚だけで、膝裏だけに問題があるとは言い切れません。足首を動かした後の変化は、膝だけではなく、体のつながりを見るヒントになります。ただし、その変化だけで痛みの原因が確定するわけではありません。
実践② 支えを使って、股関節から脚を動かす
次も、膝裏は触りません。今度は股関節を動かした時の反応を見ていきます。
脚を小さく前後に振る
- 安定した台やベッドに手を添え、バランスを取ります。
- 片脚を少し前へ動かし、元に戻します。
- 同じ脚を少し後ろへ動かし、元に戻します。
- 前後の動きを10回行います。
- 反対の脚も同じように10回行います。
大きく振る必要はありません。少し前、戻す、少し後ろ、戻す。このくらいの動きで構いません。

左右交互に膝を上げる
- 片方の膝を上げ、下ろします。
- 反対の膝を上げ、下ろします。
- 左右交互に10回行います。
ここで意識してほしいのは、膝の高さではなく、股関節から脚が動いている感覚です。脚の付け根から動かすつもりで行ってみてください。
股関節を動かした後も、同じ動作で確認する
終わったら、立った時、膝を伸ばした時、軽くしゃがんだ時、座ってから立ち上がった時の感覚を比べます。
足首を動かした段階で変化があった方もいれば、股関節を動かした後に違いを感じる方もいるでしょう。ここまで変わらない方もいると思います。
大事なのは、人と同じ結果になることではありません。「自分はどの動きの後に、どう変わったか」を知ることなんですね。
膝裏を揉んでも痛みが戻る理由を、仕事の分担で考える
会社に、Aさん、Bさん、Cさんという3人のスタッフがいるとします。本来は3人で仕事を分担するはずなのに、Aさんがあまり仕事をせず、Cさんもあまり動かない。
すると、真ん中にいるBさんが電話を取り、接客をして、書類を作り、片付けまでしなければいけなくなります。Bさんだけ疲れてしまいますよね。
そのBさんに「あなたが悪い」とは言わないはずです。Bさんが頑張らないと、会社が回らない状態になっているからです。
体も、これに似た見方ができます。足首がうまく動かない。股関節もうまく動かない。そうすると、間にある膝が必要以上に頑張ることがあるんですね。
だから僕は、膝裏が痛い方の体を見る時、いきなり「膝裏が悪い」とは考えません。むしろ、なぜ膝がこんなに頑張らないといけないんだろうと考えます。
その場で楽になることと、負担のかかり方が変わることは別
膝裏を揉んだら楽になる。それはおかしいことではありません。頑張って硬くなっているところが緩むと、その場では楽になることもあります。
でも、足首や股関節の動きが変わらないまま、いつものように立って歩いたら、膝はまた同じ仕事をしなければいけません。夜に一生懸命揉んで楽になったのに、翌朝にはまた突っ張る。そんな繰り返しにつながることもあるわけです。
これは、今までのセルフケアが全部間違っていたというより、見る順番を変える余地があるという話です。
「硬いところをどう柔らかくするか」だけではなく、「なぜ、ここが硬くならないといけなかったのか」。そこにも目を向けてみてください。
痛む場所だけでなく、時間帯と動き方も確認する
以前、膝裏全体がムズムズするという相談がありました。その方は座り仕事で、座っている時に気になる。でも、動き始めると少し楽になり、日中より動いている夕方や夜のほうが、むしろ楽になるというお話でした。
この時に考えたいのは、「どこが悪いのか」だけではありません。座っている時と、動いた後で何が変わったのかということです。
膝裏の痛みや違和感がある時は、次のタイミングを確認してみましょう。
- 朝起きた時。
- 長く座った後。
- 立ち上がる瞬間。
- 歩き始め。
- 歩き続けている時。
- 夜。
動くと楽になるのか、それとも動くと悪化するのか。朝と夜で違うのか。どれも、自分の体の現在地を知る情報です。
動き始めて楽になるからといって、病気やけががないと判断できるわけではありません。ここでは、症状が変わる条件を知るための観察として捉えてください。
足裏の体重のかかり方と、靴底の減り方を見る
もう一つ、立ち方も確認しておきます。両足を肩幅くらいに開いて、足裏の感覚に意識を向けてください。
親指側、小指側、かかと。そして右と左。どこに体重が乗っているでしょうか。

- 膝裏が気になる側だけ、足の外側に体重が寄っていないか。
- 反対に内側へ寄り、土踏まずがつぶれるようになっていないか。
- かかとに体重が偏り、足先が浮くような感じがないか。
- 右足と左足で、体重のかかり方に違いがないか。
靴底も、左右で減り方が違わないか見てみてください。
ただし、「靴底が減っているから膝裏が痛い」という話ではありません。靴底の減り方だけで、良い悪いを決めたいわけでもないんです。
目的は、自分が普段どう立ち、どう歩いているかを知ること。膝は、その動き全体の一部分として考えてみましょう。
東洋医学では、膝裏を体の背面のつながりとして見る
足首、膝、股関節、足裏の感覚。こうした体のつながりを見る考え方は、東洋医学の見方とも相性がいいんですね。
東洋医学では、体を一つずつの部品として見るだけでなく、「経絡」という流れでも捉えます。膝裏を通る代表的な経絡の一つが、膀胱経です。
伝統的な膀胱経の考え方では、眉頭から頭頂部を通り、首、背中、腰、お尻、太ももの裏、ふくらはぎを経て、足の小指側へつながる流れとして説明されます。
これは東洋医学の枠組みですが、膝裏だけを切り離さず、体の背面のつながりに目を向けるという点が、今回のセルフチェックと重なります。
ふくらはぎのツボ「承山」を押さえて足首を動かす
最後に、ふくらはぎの後ろ側にある承山(しょうざん)というツボを使ったケアを紹介します。
位置は、アキレス腱から上へたどり、ふくらはぎの筋肉の分かれ目にあるくぼみです。膝裏とアキレス腱の間の中央あたりを目安に探してみてください。

- 座って、片脚のふくらはぎの後ろ側に手を添えます。
- 承山の位置を無理のない強さで押さえます。
- そのまま足首を上下に10回動かします。
- 反対の脚も、同じように10回行います。
膝裏そのものではなく、ふくらはぎを押さえながら足首を動かすケアです。強く押すことや、大きく動かすことを目的にしないでください。
最後のチェックは、痛みの数字だけで終わらせない
一通り終わったら、最初と同じ動きをもう一度確認します。立つ、膝を軽く伸ばす、軽くしゃがむ、座ってから立ち上がる。足踏みや数歩の歩行でも構いません。
最初に覚えた10段階の感覚は、どれくらい変わったでしょうか。
僕自身が試した時は、開始前に左膝が3くらい、右膝が7くらい気になっていました。終わった後、右膝の感覚は4くらいまで下がりました。これは僕個人の反応であって、同じ変化を約束するものではありません。
そして、痛みの数字だけで判断しなくてもいいんです。
- 痛みは同じでも、動きやすくなった。
- 突っ張る場所が変わった。
- 左右差が小さくなった。
- 膝裏を触っていないのに、立ち上がりやすくなった。
- 今回は変化を感じなかった。
どれも記録しておきたい反応です。今回いちばん知ってほしいのは、「このセルフケアが効く」ということではなく、痛い場所に直接触れなくても、体の感覚が変わることがあるということなんですね。
セルフケアを増やすより、自分の体の現在地を知る
僕自身、車にはねられて両膝を大けがした経験があります。施術者になって15年以上、たくさんの体を見てきて感じるのは、痛くなるとすぐに「どこが悪いんだろう」と探しすぎてしまうことです。
もちろん、病気やけがを確認することは大切です。そのうえで、セルフケアにはもう一つ持ってほしい視点があります。
何をしたら、自分の体はどう反応するのか。
足首を動かしたらどうなったか。股関節を動かしたらどう変わったか。立ち方で違いがあるか。朝と夜で違うか。動くと楽になるか、悪化するか。これらは全部、自分の体から出ている情報です。
今日は足首の体操、明日は別のストレッチ、その次はまた別の体操。方法を次々に増やしても、自分の体の反応が分からないままだと、「次は何をしたらいいんだろう」と探し続けることになってしまいます。
だからこそ、覚えておいてほしいのは次の3つです。
- 膝裏が痛いからといって、膝裏だけが悪いと最初から決めない。
- 足首、膝、股関節は、バラバラではなく連動して働いている。
- セルフケアの後は、自分の体がどう変化したかを見る。
膝裏を揉んでもまた戻るなら、次はもっと強く揉むのではなく、「なぜ膝裏が頑張らないといけないんだろう」と一度考えてみてください。
その視点から、自分の体の見方が変わっていくと思います。









